平成24年度税制改正で創設された過大支払利子税制とは、所得金額に比して過大な利子を関連者間で支払うことを通じた租税回避を防止するため、関連者への純支払利子等の額のうち調整所得金額の一定割合(50%)を超える部分の金額につき当期の損金の額に算入しないこととする制度をいいます。
これは、企業の所得の計算上、支払利子が損金に算入されることを利用して、関連者間の借入れを恣意的に設定し、関連者全体の費用収益には影響させずに、過大な支払利子を損金に計上することで、税負担を圧縮しようとする租税回避行為が可能となっていたこと、また、近年、主要先進国では、租税条約において利子の源泉地国免税を進めるとともに、支払利子の損金算入制限措置を強化する傾向にあり、日本では、過大な支払利子を利用した所得移転を防止する措置が十分でなく、支払利子を利用した課税ベースの流出のリスクに対して脆弱であったことが、創設の目的であるとされています。
なお、ここでいう純支払利子等とは、関連者(直接・間接の持分割合50%以上又は実質支配・被支配関係にある者及びこれらの者による債務保証を受けた第三者等)への支払利子等の額(利子等の受領者側で我が国の法人税の課税所得に算入されるもの等を除く。)からこれに対応する受取利子等の額を控除した残額をいいます。