分かりやすさと専門性を追求し、常にお客様の目的や問題意識を踏まえたコンサルティングをご提案いたします。

過少資本税制

過少資本税制とは、内国法人が海外の親会社や関連会社から資金提供を受ける際に、負債利子が損金算入、支払配当が損金不算入という税務上の取扱いを利用して、出資に代えて過大に借入金等を増やすことにより、損金算入額を増加させる行為に対する国際的租税回避の防止措置をいい、出資と貸付けの比率が一定割合を超える場合に、その超える部分に対応する支払利子の損金算入を認めない制度です。

具体的には、内国法人が国外支配株主または資金供給者等に負債利子等を支払う場合において、その国外支配株主等および資金提供者等に対する平均負債残高が、国外支配株主等の資本持分の3倍に相当する金額を超えるときは、当該事業年度において国外支配株主等および資金提供者等に支払う負債利子等の額のうち、その超える部分に相当する負債利子等の額は損金の額に算入できないこととなります。

ここでいう「国外支配株主等」とは、非居住者または外国法人で、内国法人との間に、当該内国法人の発行済株式等の50%以上を直接または間接に保有する関係、その他内国法人の事業の方針等を実質的に決定できる関係にある者などをいいます。
「資金供給者等」は、国外支配株主等と内国法人との間に介在して、資金を融資する者、債務の保証を行う者などが該当します。
また、「負債利子等」には、通常の借入れに伴う支払利息に加えて、社債発行差金償却費等、一定の費用も含まれます。

なお、本制度に基づく規制は、当該内国法人の当該事業年度の総負債に係る平均負債残高が当該内国法人の自己資本の額の3倍に相当する金額以下となる場合には適用がありません(いわゆる「セーフハーバールール」)ので、過少資本税制の適用の有無を検討するにあたっては、まずこのセーフハーバールールの適用があるか否かを検討し、この適用がないと判断された場合に、上述の規制の対象となる負債利子等の検討を行なうことになります。