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連結納税制度

連結納税制度とは、企業グループの一体的経営に着目し、企業グループ内の個々の法人の損益などを集約することにより、あたかも企業グループを一つの法人として課税する制度をいいます。

日本の連結納税制度は、親法人である内国法人とその内国法人による完全支配関係がある他の内国法人(子法人)のすべてを一つのグループとして、親法人がその連結グループ全体の所得(連結所得)を一つの申告書(連結確定申告書)に記載して法人税の申告・納付を行なうことができる制度です。ここで完全支配関係とは、親法人が子法人の発行済株式等の全部を直接または間接に保有する関係をいいます。

連結納税制度の適用は法人の任意となっており、連結納税の適用を受けようとする場合には、原則として最初にその適用を受けようとする事業年度開始の日の3カ月前の日までに、所定の承認申請書を親法人の納税地の所轄税務署長を経由して国税庁長官に提出する必要があります。いったん連結納税を選択した場合は、原則として次年度以降継続して適用されることになります。

連結所得の計算は原則として、単体納税を計算する場合の方法に基づいて行なうことになりますが、受取配当金の益金不算入や寄附金の損金不算入等に関して一定の調整がなされます。これらの結果算出される(調整後)連結所得に法人税率を乗じ、さらに外国税額控除等の一定の税額控除が調整され、連結税額が算出されます。

法人税の申告納付の手続きは連結親法人が一括して行います。申告書の提出期限は、各連結事業年度終了の日の翌日から2カ月以内ですが、所定の申請を行なうことにより申告書の提出期限を2カ月延長することが可能です。また各連結子法人は、個別帰属額等を記載した書類を所轄税務署に提出することになります。

なお、2010年度税制改正においてグループ法人税制が導入されたことに伴い、連結法人間の損益調整にかかる制度は、完全支配関係のある法人間取引における譲渡損益の繰延べ制度に組み込まれました。また、同じく2010年税制改正により、連結子法人の単体欠損金の連結所得計算への持込み制限が緩和され、連結納税開始または連結グループへの加入に伴う資産の時価評価制度の適用対象外となる連結子会社の単体欠損金が、その子法人の個別所得金額を限度として、連結所得計算上控除することが認められるようになりました。

なお、地方税については単体法人が納税単位となります(連結納税制度の適用はありません)。